高付加価値コンテナの社会実装の加速化に向けて

医療・防災産業創生協議会の活動強化

医療・防災産業創生協議会(会長:寺島実郎、弊所が事務局)は、コロナ禍等を踏まえ2021年4月より当面3年計画で活動を開始しましたが、現下の活動状況等を鑑み幹事会員(メンバー企業)を中心に1年間の活動期間延長が提起され、総会(3月25日開催)において正式に決定されました。

また、1月の能登半島地震における被災地での各種コンテナ類の活用が数多く見られ、災害時の機動性の高い可動式コンテナの有用性が確認されたところです。弊協議会も協力企業(4月より入会)と連携し、1月下旬より七尾市崎山地区に風呂用コンテナを設置し、多くの被災市民にご利用頂きましたが、断水の復旧後4月中旬に支援を終了しました。

このような経緯から、コンテナに搭載する設備など、新技術やノウハウ等を有する企業(4社)にも新たに入会頂き、4月より26の有力なメンバー企業の参画の下に、寺島が主導する国土のレジリエンス強化と次世代産業の創生に資する活動をより強化する方針です。

R6年度の事業計画

医療・防災産業の創生に向けた提言(2021年6月・中間とりまとめ)で示した短期(3年)、中期(5年)、長期(10年)のアクションプランのうち、短期(2024年メド)の先進事業の社会実装に係るシンボリックプロジェクト(高機能・高付加価値コンテナを防災道の駅等に配備)は本年が目標年であり、第1号に位置付けた防災道の駅「猪苗代」での取組みを確実に進めることが重要と考えています。

(官民連携事業)

このため、R6年度の主要事業は猪苗代での昨年6月と11月の延べ5日間の実装デモ(災害時・平常時対応)の実施を踏まえ、能登半島地震の実績や教訓等も考慮した通年(主に平常時)での可動式コンテナの利活用を通じて、詳細な検証結果と具体的な成果を今後に繋げることが今年度の重要な取組みです。

通年での実装活動を円滑に進めるには、これまでにも増して地元の官(猪苗代町をはじめ福島県、国(東北地方整備局郡山国道事務所))や民(商工会、観光協会、道の駅等)との緊密な連携が重要であり、本連携が地元にも多くのメリットが及ぶとの理解促進が必要と考えています。

弊協議会では、新年度から地元関係者との協議を進めており、連休明けには年内のスケジュールの確認など、具体的な連携活動が進む見通しであり、秋には防災訓練を想定した平常時・災害時のシームレスな運用、新技術等を搭載した高付加価値コンテナ類のフェアを行う予定です。

また、道の駅「猪苗代」地域創生推進協議会(猪苗代町副町長が会長)に協力し、国土交通省の「道路に関する新たな取組の現地実証実験(社会実験)等の公募」に応募することを検討しており、道の駅「猪苗代」を基点とする社会実験を通じて、その知見等が国の新規施策の導入・実施に結びつき、猪苗代モデルが全国的に周知・推奨される取組みになればと考えております。

加えて、昨年来協議を進めている群馬県、和歌山県等との連携事業についても、全国の地方公共団体への先行事例(モデル)となるよう、引き続き関係強化を促進する予定です。

(民民連携事業)

本年3月より、「命のコンテナ(可動式)を活用した防災に強い地域(まち)づくりに向けて」を主題とする再開発プランの提案を東京、大阪を中心に関連する企業に説明を行っており、ジャッキによる圧倒的な可動性・機動力に富む特徴のコンテナ(事例)について、建築基準法等の関連法令の運用がよりシンプルな方向(民活促進)に進むようであれば、多様な用途に使えビジネス機会の拡大や企業価値も高められるとの意見等も寄せられています。BtoBによる市場形成等が進展するよう継続して広報活動を行う計画です。

議連や国の動き

超党派の医療・防災産業創生推進議員連盟(会長:齋藤健 衆議院議員)では、能登半島地震を受けて、2月21日(発災50日目)に弊協議会の活動状況の報告並びに意見交換を行う目的で、臨時総会を開催されました。

冒頭の開会挨拶で、古川元久議連幹事長から、今次地震を受け、コンテナの有用性が確認された。この高機能コンテナを異次元のレベルに加速して、全国の道の駅等に早期に配置し、いざという時に被災者の命を支えていく展開がより一層必要と感じた。そうした問題意識を、議連の皆さんで確認する臨時総会とさせて頂きたい、との趣意を述べられました。続いて、寺島より「能登半島地震を受けて―マクロ・エンジニアリング的視界から」と題するペーパーを用意し、今次地震に対する問題意識を述べるとともに、事務局から活動状況の中間的報告を行いました。

古川元久議員におかれては、衆議院国土交通委員会(4月17日開催)において質問に立たれ、能登半島地震を踏まえて、防災道の駅や国土交通省が4月11日に公表した「道の駅」における高付加価値コンテナ活用ガイドラインのほか、弊協議会の活動に関連する内容も一部含まれていますので、下記ユーチューブをご参考まで共有します。

〇古川議員 質問(約30分)
https://www.youtube.com/watch?v=ChCJcHGROJg

上記のガイドラインは事例を含む多岐にわたる内容がとりまとめられており、「道の駅」をはじめ、高付加価値コンテナの各方面での活用促進に資することが期待されます。

本ガイドラインにおいて、高付加価値コンテナとは、①運用場所を柔軟に変更できるよう可動性を備えていること、②従来の活用方法を超えた新たな価値を付加し、平常時・災害時に有効活用できる空間としてのコンテナであること、と定義されています。なお、ガイドラインに関する情報は下記をご参照ください。

〇「道の駅」の機能強化にコンテナ活用へ
~「道の駅」における高付加価値コンテナ活用ガイドラインを策定~
https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001798.html

今後に向けて

1月の能登半島地震における支援活動を通じた実績や教訓、議連や国の動きも踏まえ、弊協議会として、民間の立場から高付加価値コンテナをコアとする医療・防災分野の産業創生と国土のレジリエンス強化に資する総合的な取組みに向けて、これまで以上に参画メンバー企業等との連携を推進する考えです。

大阪での広報活動を進める中で、来春の大阪・関西万博の開催時に、会場外の駐車場に一定台数のトイレ用コンテナ(多目的用含む)が設置され、活用される見通しです。
  
古川議員は上記質問の中で、「万博会場にトイレをはじめとしていろいろな種類の高付加価値コンテナを設置して見てもらう、万博が終わったら、使い捨てじゃなくて道の駅等で再利用していく、いざ災害の時にも使える、こうした日本における取組みは世界への日本の存在を示す絶好の機会ではないか」と指摘しておられます。

協議会活動を現行体制で1年間延長したことが、今後の発展的な展開に資するよう、関係者一同努力する考えでいます。

引き続き多くの皆様に本協議会活動へのご支援等を賜りたくお願い申し上げます。