■ 菓子生産金額の動向
普段からなにかしら口にすることの多いお菓子ですが、日本国内で実際にどの程度の市場が形成されているのでしょうか。小さい頃よりこよなくお菓子を愛し、お世話になっているお菓子好きの私でなくとも、興味をもたれる方は多いと思います。ここでは、お菓子に関する統計情報の紹介と個人的な雑感を述べたいと思います。
図1は、「e-お菓子ねっと」で公表されている統計情報を基に作成した、菓子生産金額の平成18年から平成28年までの直近10年間の推移です。
図1 菓子生産金額の推移
出典:「e-お菓子ねっと 平成28年菓子統計」より作成
上記分類に含まれる主な品物(分類は全て全日本菓子協会の分類による)
- 飴菓子:キャンディ類、キャラメル、ドロップ、グミ、ゼリー、マシュマロ
- チョコレート:
- チョコレート製品(Ⅰ)(チョコレート生地100%、板チョコ、粒チョコ等)
- チョコレート製品(Ⅱ)(チョコレート生地60~100%未満、ナッツチョコ等)
- チョコレート菓子 (チョコレート生地20~60%未満、被覆チョコ等)
- チューインガム:板ガム、粒ガム、風船ガム、シュガーレスガム
- せんべい:小麦粉せんべい
- ビスケット:ビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツエル、乾パン、パイ、サンドビスケット、その他
- 米菓:あられ(もち米製のもの)、せんべい(うるち米製のもの)
- 和生菓子:(ようかん、まんじゅう、その他和菓子)
- 洋生菓子:(ケーキ、カステラ、ドーナツ、その他洋生菓子)
- スナック菓子:ポテト系、コーン系、小麦粉系、米粉系のもの
- 油菓子:かりんとう など
- その他:豆菓子、甘納豆、錠菓、清涼菓子、玩具菓子、おこし、その他の焼菓子、砂糖漬菓子 など
各グラフの推移を見てみると、その他を含めた全11品目の内、ほとんどがほぼ横ばいの推移となっていますが、チョコレートについては、平成22年以降ひと際目立った伸びが見られます。次はチョコレートについて焦点をあてて考察してみます。
■ チョコレートの消費量について
図2はチョコレートの国内消費量と一人あたり年間消費量の推移を表したものです。
図2 チョコレート国内消費量・一人あたり年間消費量
出典:日本チョコレート・ココア協会HP統計資料より作成
図1のチョコレート生産金額の増加傾向と同様、平成22年頃(2010年頃)から、チョコレート消費が高まっている傾向が見受けられます。消費量の増加要因は複数考えられますが、要因の一つとしてチョコレートの健康面やリラックス面での効果を期待し、チョコレートを購入する方が多くなっていることが挙げられるのではないでしょうか。
実際のチョコレート摂取の効果については、平成26年に行政・大学・民間企業の産官学共同で実施された実証研究があり、研究結果から「血圧低下、善玉コレステロール値の上昇、BDNF(脳由来神経栄養因子)の上昇、炎症指標および酸化ストレス指標の低下」が確認されています。
図2では、平成27年の一人あたりチョコレート消費量は約2kgとなっていますが、具体的にこの量を想像するのは難しいかと思います。一般的な板チョコ1枚の重さである60gで計算すると、大体年間で33枚~34枚板チョコを食べている計算になります。・・・いかがでしょうか?この量を多いと感じるか少ないと感じるかは個人差があると思いますが、私はそれ以上の量を消費しています。個人的には、毎日何らかのお菓子のお世話になっていますが、特にチョコレートは欠かさず摂取?しています。
個人の嗜好や興味が多様化している影響もあるのかもしれませんが、昔から販売されている定番の商品だけでなく、ここ最近は「カカオ○○%」、「食べても太りにくい」と銘打った商品が目に付きます。やはり健康面に配慮した商品が、消費者から求められていると考えられます。個人的にも健康配慮型の商品を手に取るように心がけています。
身近なところでもう少し考えてみると、スーパーやコンビニエンスストアの陳列棚には、目移りしてしまうほど多種多様なチョコレート商品が並んでいます(甘いものに関心が無い方は見ないかもしれません)。また、チョコレート商品が陳列されている場所や高さを見ても、消費者の目線に入りやすい位置に配置されているお店が多いと思います。それだけ消費者に求められている商品(需要が大きい商品)であり、お店側としても販売に力を入れているということが想像できます。
■ 全国の銘菓の歴史やその地域での消費動向に関心
さて、チョコレートの話にやや傾倒していますが、和洋問わず全国各地域にはその土地の郷土料理や地酒、銘菓と呼ばれるものが必ずと言っていいほど存在しています。出張で普段はなかなか行けないような地方に出向いた際、楽しみの一つがその地域の名産品のお酒や郷土料理を楽しむ、ということではないでしょうか。以下の画像は、少し前に出張した際に撮影したものです。
簡単にそれぞれの郷土料理を紹介します。
島根県津和野町 うずめ飯
山陰の小京都と呼ばれる津和野町の代表的な郷土料理の一つ。小さく刻んだ具がご飯の下に〝うずめ〟てあることから、その名がついたと言われている。混ぜる前はご飯で具が隠れていて中が見えず、一見するとただのお茶漬けに見えるが、中身をすくってみると豆腐や三つ葉、椎茸などの具が、次々に現れる。由来には、贅沢を嫌った津和野藩主の目を気にした、高級品であるわさびを上にのせると客が遠慮するから、具が粗末なものばかりで恥ずかしい、など諸説ある。いつから誰が作り始めたのかは定かではないが、正月の風習で、祝宴の最後に出されるもてなし料理がいつしか1年中食べられるようになった。
山梨県富士川町 みみ
十谷(じっこく)集落に伝えられている郷土料理の一つ。地元の野菜と手づくり味噌で煮込んで作る。小麦粉を練って薄くのばし、小さな正方形にして2つの角をつまんでつけた形が特徴で、農具の箕(み)に似ていて、福をすくいとるという意味を込めて福箕(ふくみ)となり、これが転じて「みみ」になったと言われている(耳の形に似ているからという説もある)。由来は、源氏の武将が戦勝を祝い食べたのが始まりという言い伝えがある。十谷地域では、元旦の朝食に食べる習慣が残っている。
私は郷土料理やお酒はもちろん、その土地のお菓子(銘菓)に注目しています。単に好きだからという単純な理由もありますが、なぜその銘菓が古くからその土地に根付いているのか、気候や文化との関連性、交通網が発達していない時代に、どのようにして材料を調達していたのか、なぜこの形状なのか、、、など色々と考えながら道中を過ごしています。
また、特に関心があるのは、実際に地元の方々がどういう場面でその銘菓を食しているのかという点です。観光や仕事でその土地を訪れる場合は、お土産として購入という一過性の消費になることがほとんどだと思いますが、地元の方々にとって、その土地の銘菓が持つ意味は多岐にわたるのではと想像できます。
その土地の人々にどういう場面で消費されているのか、お祝い事が有った場合なのか、それとも何かの行事で使うのか、そもそも地元で消費されることはほとんどないのか等、深く掘り下げて知りたいことは多々あります。歴史的な背景が当然含まれていると考えられますが、全国各地の銘菓を通じてその土地について学ぶ、という視点も面白いのではと思っています。
今年も地方出張の機会があれば、昨年と同様に、その地域の「お菓子」(銘菓)に注目したいと思います。