謹んで新年のお喜びを申し上げます。
日本、米国をはじめ国内外の政治・経済状況を鑑みると、想定が難しい不確実な2025(令和7)年が始まります。このような時代にこそ、公共政策志向のシンクタンクとして、国内、海外の動向を的確に見極めつつ、より良い社会経済状況の実現に向けて創造的な取組や貢献を果たすことが弊所の使命と考えています。
新年が皆様にとりまして幸多き年となりますようご祈念申し上げます。
巳年は蛇が脱皮するイメージから、「復活と再生」による新しいことが始まる年と言われています。この干支の年に、弊所は創業55年の節目を迎えますが、シンクタンクの立ち位置を再認識し、重要な転換の年にするべく社会課題解決等への積極的な対応と経営の安定に専心する方針です。
2020年の創業50年を機に、新たな10年(十年プラン)を策定し、本年は後半(6年目)を迎えますが、この間の蓄積と総括を踏まえ、十年プランの後半(創業60年)に向け、「新生」日本総合研究所へと脱皮・飛躍する重要な年と考えています。創業50周年の記念事業では、「英知・共創・変革」のプラットフォーム宣言を表明しましたが、多彩なパートナー等との共創を通じて日本の社会変革に繋げることを使命として、引き続き所員一同研鑽を重ね、果敢に行動することが必要と認識しています。
こうした認識のもとに取組む、社会変革に資する主要な自主研究プロジェクト(県民幸福度研究(地方から日本を再生)、ジェロントロジー推進機構における人材養成事業、医療・防災産業創生協議会と都市型農業創生推進機構による新しい産業創生)をさらに推し進める方針です。これらは、人口減(過疎化)や高齢化への対応、ポストコロナにおける国民一人ひとりの意識や行動変容(安全・安心・幸福感)の促進とともに、サステナブルな社会変革に資する重要なプロジェクトと位置付けており、確実に事業成果を挙げることで業態転換の道筋を明確にする考えです。
同時に、官公庁等の委託調査事業の推進は、国等の政策や施策課題への理解促進、新しい調査事業の開拓、経営安定面からも必要不可欠であり、このバランスが今年も重要なテーマです。さらに、名古屋オフィスを母体とした医療・看護・介護分野を中心とする教育事業部門では、社会福祉士養成コースに加え、新たに精神保健福祉士のコースをスタートさせ、資格取得者の養成に積極的に取組んでおり、教育事業部門の実績等との連携も引き続きの課題です。
本年1月、調査研究本部(生活創造研究部)では、東京都内(豊島区)にサテライト・オフィスを開設し、地域(現場)における課題(魅力)把握や人材の交流等、「場」を通じた新しい試みをスタートさせます。また、昨年より弊所に相応しいBCP(事業継続計画)の策定を進めており、今後の訓練を含む普段からの準備(危機管理)を促進し、本BCPの知見等の普及に取組む計画です。
組織運営において、若手、中堅、ベテランが相互に能力を活かしきれることが重要と考えています。そのためにも個々の人材開発とともに、自ら果敢にチャレンジする精神を育み、情熱を持って行動することで、達成感や成功体験を積み重ねる人材が多数存在することが必要です。巳年の干支を大きなチャンスにできる1年になるよう取組む考えです。
年頭に当たり、所員一同目標を掲げ、その達成に邁進する所存ですので、一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
2025/1/6
(一財)日本総合研究所理事長 松岡斉