新しい公共政策志向のシンクタンクを目指して
公共政策に関する総合的戦略企画力、この装備が日本の将来を決めると思われる。そのためには、体系的な国際情報の集積力、総合的な分析力、政策試案の提示力を持った政策シンクタンクが重層的に整備されねばならない、というのが欧米の公共政策企画過程を見てきた私の実感である。
一般財団法人日本総合研究所は、45年以上の実績を積み上げてきた公共政策志向のシンクタンクであり、茅 誠司、野田 一夫といった歴代理事長および会長が、先見性をもってリードしてきた貴重な公共財である。私自身、20歳代に日本総合研究所の研究会に心ときめかせて参加した思い出もある。
新しい時代の潮流を受けて、私はこのシンクタンクを国際機関、政府機関、各種シンクタンク、企業などとの重層的連携によって成り立つ「ネットワーク型シンクタンク」へと高めていきたいと考えている。また、「問題提起型」に止まらず、「問題解決型のシンクタンク」を目指したいと思う。特に、アジア太平洋地域の若い研究者をネットワークして、新しい時代の政策思想、制度・組織設計などで地平を拓いていきたいものである。